皆さん、こんにちは。

随分と過ごしやすい気候になってきました。朝晩は寒いくらいです。風邪や腸炎の患者様も増えてきておりますので、体調管理には十分気をつけて下さい。

さて、今回はMallory-Weiss症候群についてのお話です。まず、何て読むんだ?という疑問があると思いますので、これからはマロリーワイス症候群と書くことにします。これは、嘔吐や咳などが原因で、食道と胃のつなぎ目やその付近に傷が入り、出血をきたすという病気です。胃カメラ検査中の嘔吐反射(オエッとすること)によって生じることもあります。症状としては、吐血や黒色便があります。吐血をしている患者様には、精査の為に胃カメラを受けて頂くことになるのですが、もちろんマロリーワイス症候群による吐血かもしれません。カメラの操作により傷がひどくなるかもしれないので、手際良く短時間に検査を終えるように配慮が必要です。胃カメラをしてマロリーワイス症候群であった場合、自然止血していれば経過観察で良いのですが、出血が続いていれば胃カメラでの止血治療を引き続き行います。このような時は、入院して絶食や点滴が必要と思われます。マロリーワイス症候群の治療には胃薬も使用しますが、適切な治療によって、傷は1〜2カ月以内に治癒します。

ここからは、実際の患者様のお話をさせて頂きます。先日、吐血の患者様が来院されました。胃潰瘍や胃がんなどの可能性も考えましたが、よくよく問診すると、嘔吐してから吐血ということが判明しました。これは、マロリーワイス症候群が怪しいなと思い、緊急胃カメラ検査をすると、ズバリその通りでした。この患者様は胃薬にて治療を開始して、経過は良好です。

いかがでしたか?おそらく大多数の方は聞いたことがない病気だと思います。ですので、この機会に、嘔吐してからの吐血は、マロリーワイス症候群を疑う、ということを覚えておいて下さい。

それでは、次回のブログもよろしくお願いします。