皆さん、こんにちは。
先月末にインフルエンザの患者さんの診療を行いました。ワクチンの入荷がまだであり、もちろん接種していなかったために、若干焦りましたが、感染は回避出来ました。手洗いとうがいのお陰かなと。現在は、ワクチン入荷済みであり、私も接種済みです。ワクチンの効果が出るのに2週間程度かかりますし、在庫も限りがありますので、お早めのご予約をご検討下さい。
今回は虚血性大腸炎についてです。なんとなく想像できるかもしれません。血が足りなくなって、腸炎が起こるのかな?といった感じに。まさにその通りです。
先日、突然の腹痛と血便があり受診された患者様がおられました。腹痛は体の左側に集中しており、生活習慣病も持っておられたために、虚血性大腸炎を第一に疑って、緊急で大腸カメラを行いました。結果は、その通りでした。
虚血性大腸炎は消化器内科医にとっては、よく遭遇する病気で、大きな太い血管から枝分かれする細い血管の血液の流れが悪くなって引き起こされます。原因としては、動脈硬化や便秘、薬剤(下剤やピルなど)などがあります。前述の患者様はおそらく動脈硬化が原因と思われますが、実際には原因がわからない場合も多いです。虚血性大腸炎には3つの型、一過性型(一時的なもの)、狭窄型(腸が細くなる)、壊死型(腸の傷みが重篤)があり、頻度は、だいたい65%、25%、5%程度で、一過性型が最も多いです。症状は、突然の腹痛(左下腹部が多い)、下痢、血便が特徴的で、前述の患者様も下痢以外は認められました。診断を確定するためには、大腸カメラを行うのが望ましく、組織検査も併用します。治療としましては、腸の安静が基本となります。症状が軽い場合は、消化が良くて刺激のないもの(香辛料や極端に熱い冷たいものは避ける)を食べて頂き経過観察をしますが、症状が重い場合は、入院の上、絶食と点滴(抗生物質を含む)による治療が必要になります。一過性型では1-2週間程度で良くなりますが、狭窄型や壊死型では手術の検討も必要です。ちなみに、前述の患者様は軽症の一過性型でした。
いかがでしたか?こんな病気もあるんだなあ、と少しでも関心を持って頂けたら幸いです。このしたクリニックでは、緊急の大腸カメラも対応可能ですので、血便を認めた時はご相談下さい。それでは、次回もよろしくお願いします。